第7回フレンドシップサロン

魅力ある街づくり創造戦略 〜水都大阪再起動〜


■開催趣旨

 このサロンは、中堅・中小企業と教授の先生方とが、 地域社会に対する抱負を語り合うことでフレンドシップを深め、 大阪の発展を語り合い親交を深める事を目標としています。 今回のテーマは「水都大阪再起動」です。 大阪における食・文化の歴史的背景を踏まえるとともに、 大阪都市魅力創造戦略2020で決定済みの水都大阪ロードマップを共有し、 水都大阪の魅力を掘り起こして発展させる方策につき、 講演者、参加者との議論の場を提供したいと考えています。


 (ポスター:695kB)

■開催概要

日時 : 平成30年3月23日(金)13:00〜17:20 (交流会:17:20〜19:30)

会場 : 大阪商工会議所6階 桜・白鳳の間(大阪市中央区本町橋2-8)
  (地下鉄堺筋線中央線 堺筋本町 徒歩7分、地下鉄谷町線 谷町4丁目 徒歩7分)

主催 : 一般社団法人生産技術振興協会、大阪商工会議所

協賛 : 株式会社阿里久寿、NPO法人エコデザインネットワーク、大阪商工信用金庫
     サラヤ株式会社、Seiju国際知財事務所、株式会社タブチ
     新居合同税理士事務所、株式会社プロアシスト、株式会社ユニオン
(五十音順・敬称略)

参加費: 講演会 千円(資料代)、懇親会 三千円(消費税込)

申込先:(社)生産技術振興協会 事務局 【参加申込みフォームよりお申し込みください】


■プログラムと講師

1.講演会の部
<司会> 大阪商工会議所 経済産業部 産業・技術振興担当課長 吉村保範
13:00〜13:10 開会挨拶 大阪商工会議所 経済産業部 部長 楠本浩司

13:10〜14:00 基調講演 大阪府府民文化部都市魅力創造局 魅力づくり推進課 課長 時岡貢氏
「大阪都市魅力創造戦略2020〜大阪全体の都市魅力の発展・進化・発信〜」

14:00〜14:40 大阪ガス株式会社 CEL エネルギー・文化研究所 所長 池永寛明氏
「これから大阪はどうなる―『大阪ルネッセ(再起動)に向けて』」

     (休憩10分)

14:50〜15:30 大阪工業大学 建築学科 教授 吉村英祐氏
「上町台地から天王寺・あべの地区にかけてのまちづくり」

15:30〜16:10 大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻建築工学部門 教授 木多道宏氏
「西船場からベイエリアにかけてのまちづくり」

     (休憩10分)

2.パネルディスカッションの部
16:20〜17:20 (60分、質疑応答を含む)
テーマ   水都大阪の魅力の発掘と発展
司会 生産技術振興協会 理事 生駒京子

<パネラー>
大阪府 府民文化部 都市魅力創造局 魅力づくり推進課長 時岡貢氏
大阪ガス株式会社 CEL エネルギー・文化研究所 所長 池永寛明氏
大阪工業大学 建築学科 教授 吉村英祐氏
大阪大学大学院工学研究科 地球総合工学専攻 建築工学部門 教授 木多道宏氏

3.交流会の部(フレンドシップサロン)
17:20〜19:30 出席者の方々のフレンドシップを深め、抱負を語って頂く場を設けます。

ご挨拶  大阪大学大学院工学研究科 地球総合工学専攻 建築工学部門 教授 山中俊夫氏



■講演内容

<基調講演>
「大阪都市魅力創造戦略 2020〜大阪全体の都市魅力の発展・進化・発信〜」
 大阪府 府民文化部 都市魅力創造局 魅力づくり推進課長 時岡 貢様
大阪は国内では一定の存在感を持っているが、世界の中での存在感はまだまだ薄い状況である。 人口減少が加速する中で、世界で通用するグローバル人材の育成や外国人留学生の受入環境の充実・強化に取り組むとともに、 世界の都市間競争に打勝つためにも、多様な人材が交流し新しい価値を創造する都市として、国際都市・大阪の プレゼンスを高めていく必要がある。そのための施策展開にあたっては、様々な角度から、都市としての魅力向上を 図り、国内外の人々に大阪の魅力を発信し続けるとともに、まちづくりや観光、文化をはじめ、様々な分野の 施策連携を図り、都市魅力の向上(都市魅力創造)⇒交流人口の拡大(集客効果)⇒消費喚起・投資拡大(経済効果) ⇒まちの活性化(取組みの充実・発展)の好循環に結びつく施策の展開を図っていく事が肝要である。
 また、大阪の都市魅力創造にあたっては、公と民のそれぞれが必要な役割を担いつつ、一体となって取り 組んでいく事が大切で、今後、都市魅力創造を通じて大阪が成長していくためには、様々な主体がそれぞれの 立場から関わりを持ち、どのような役割を果たしていくべきなのかについて、考える機会としたいと思っている。

「これから大阪はどうなる〜大阪ルネッセ(再起動)に向けて」
 大阪ガス株式会社 CEL エネルギー・文化研究所 所長 池永寛明様
「出汁」に地域文化が凝縮されている。季節の旬の食材と食材をまぜあわせ、 それぞれの佳さを引き出す「出会いもの」が日本料理の本質。「天下の台所」といわれた 大坂には海から川から山から野からの食材が椀のなかで出会い絶妙にまじりあった出汁に 大坂が込められた。農家・漁師が収穫した食材が、大切に運ばれ、料理人と商人が協働して、 お客をもてなす大坂料理が創造されてきた。それを生み出した大阪文化が失われつつある。
 文化の語源はCulture。「土を耕し、種を播き、水や養分を与え、収穫し、種をとり、植える」こと。 進化させつつ繰り返し次に繋ぐこと。現代の大阪が失った最大のものが、その「文化」。 社会・生活・産業などあらゆる分野で、「過去=古い、レベルが低い」と位置づけられ、 「変えること、ちがうことに価値がある」と盲信する消費ビジネスに翻弄され、過去を切り捨て、 現代と断絶したことで、残すべき「大阪文化」が無くなりつつある。
 「適合不全と過剰適合」の時代、「ブラックボックス化」する時代、「コードをモード化できない」 時代という現代社会。これらの諸相を読み解き、大阪の基本潮流をつかみ、これからどう考動して いくべきだろうか。大阪が大阪だった本質を掘り起し、「過去×現在」をつなぎ、「内と外」を繋い で多様な情報に学び、新たなこと異なる情報・技術とを融合・編集・統合して、新たな価値を創造し、 大阪を再起動(ルネッセ)していくための方法論をみなさまと考えていきます。

「上町台地から天王寺・あべの地区にかけてのまちづくり」
 大阪工業大学 建築学科 教授 吉村英祐様
大阪は、難波宮以来の古い歴史を有する都市であり、中世以降は石山本願寺の寺内町、 大坂城の城下町として大いに繁栄した。江戸時代には縦横に堀が巡らされ、江戸の八百八町に対して 大坂は八百八橋と呼ばれる水の都でもあった。また、上町台地には四天王寺や高津神社などの多くの 神社仏閣、難波宮遺跡や大阪城などが集積しており、大阪の歴史を語るうえで極めて重要な地域である。 明治時代には内国勧業博覧会が開催され、大正後期から昭和初期にかけては「大大阪」として産業・文化の 中心地として大いに繁栄した。戦後も西日本の経済の中心都市として目覚ましい発展を遂げたが、 「天王寺・あべの地区」は常に「キタ」や「ミナミ」の後塵を拝してきた。
 だが、この地区には茶臼山古墳や四天王寺などの歴史的遺産をはじめ、内国勧業博覧会の跡地に つくられた新世界や天王寺公園、大阪城と並んで大阪のシンボル的存在である通天閣があり、環濠集落として 繁栄した「平野郷」も近いなど、多くの魅力にあふれている。また最近は、あべのハルカスが誕生し 、天王寺公園が「てんしば」として再整備され、星野リゾートが新世界への進出を決めるなど、 再び注目を浴びつつある。
 講演では、「天王寺・あべの地区」の地域の歴史や魅力を紐解きながら、「キタ」「ミナミ」に続く 第三の中心地としてどう発展すればよいか、ひいては大阪全体の魅力をさらに高めるには何をすべきか について、皆さんとともに考えてみたい。

「西船場からベイエリアにかけてのまちづくり」
 大阪大学大学院工学研究科地球総合工学専攻建築工学部門 教授 木多道宏様
大阪の船場地区から大阪港にかけたエリアは、豊臣秀吉の時代から江戸時代を経て、 海が持続的に陸地化されてきた地域である。当時の地図を見れば、運河網の形態や、干拓でできた 水田地帯の畦道などに地形・生態系の個性が風景として現れていたことがわかる。明治以降は築港開発 を皮切りに港湾機能の強化や工場地帯の立地が進み、当エリアが大阪の都市機能の近代化を担ってきた。 その一方、土地の表層は建築・土木構造物により被覆され、従前の自然環境構造がほぼ喪失されるに至った。
 現在は、港湾・物流機能の国際的競争力の相対的低下、そして工場地帯の衰退にともなう土地利用の 転換期にあり、従来の枠組みでは解決できない課題が山積している。大阪が産学連携により培ってきた 医療、福祉、エネルギー、IT技術などを従来の産業に組み合わせながら、大阪ならではのハートフルな 感性によって、この地域に暮らしのイノベーションを先導することが期待される。
 従前の自然環境を再表出させるような都市・ランドスケープデザインと、新たな産業の共創のための 場づくりを組み合わせることにより、都心から海にかけた一帯に産業、文化、生態系の回廊を形成する ことはできないだろか。統合型リゾートや万国博覧会を海上に孤立させるのではなく、これらの回廊に よって内陸とつなぐことも、大阪市・大阪府の重要な政策となり得るであろう。企業の皆様との議論に よって、様々な可能性を共有させていただければ幸いです。

[Top Pageへ戻る]