SDGsのための廃プラスチック問題講座 〜海洋生分解性プラスチックの開発動向など〜 |
- 日時:2020年4月3日(金)
講演会:13:00〜17:30
交流会:18:00〜21:00
- 会場:サラヤメディカルトレーニングセンター(SMTC)
本町ガーデンシティ4階 【アクセス】
〒541-0053 大阪市中央区本町3-6-4(地下鉄「本町」駅 7号出口直結)
- 参加費: 講演会 3,000円、交流会 10,000円(消費税込)
- 主催 : 一般社団法人生産技術振興協会 アライアンス委員会
- 共催 : NPO法人エコデザインネットワーク
- 協賛 : サラヤ株式会社
- 申込先:(一社)生産技術振興協会 事務局
※定員に達しましたので、申し込みを終了しました
プラスチックは安価、軽量、自在な成形性による高い意匠性・デザイン対応性などの特性で、 我々の日々の生活を豊かにしてきました。丈夫で腐らないという特徴を活かして幅広い分野で 利用されてきましたが、自然環境中で分解されにくいため様々な環境問題を引き起こしています。 近年、廃プラスチックの海洋汚染が深刻になっており、世界で毎年800万トンを超えるプラスチック ごみが陸上から海洋へ流出しています。2050年には海洋中のプラスチック量が魚以上に増加する との試算も発表されています。そのため、レジ袋をはじめとするプラスチックのワンウェイ用途を 減らし、プラスチックのリサイクルを高めることが世界的に求められています。
本セミナーはサーキュラーエコノミーを実践するためのプラスチックリサイクル、海洋プラスチック ごみ問題の現状とその解決に向けた生分解性プラスチックの開発動向を網羅的に紹介します。 SDGs達成とプラスチックの社会との共生に向けて、廃プラスチックの現状を社会的・技術的な視点 から俯瞰することを目指します。
講演01海洋プラスチック問題 〜汚染の現状と課題解決に向けた選択〜 島村道代 氏(海洋研究開発機構) 【講演概要】
近年、人類によって海洋へ排出されたプラスチックごみの問題が 広く知られるようになった。特に5 mm以下のマイクロプラスチックと呼ばれるプラスチック 小片の生態系、ひいては人間への影響が懸念されている。欧州や米国の一部における 使い捨てプラスチック規制を皮切りとし、G20大阪首脳宣言でも本問題について言及され、 世界各国でシングルユース・プラスチックの削減や規制のムーブメントが広がっている。 本講演では未来のプラスチックと社会のあり方を考えるため、科学的エビデンスに基づく 本問題について述べ、課題解決の鍵や肺循環型社会を含む私たちの”選択肢”について 会場の皆さんと議論する。 講演02プラスチックリサイクルの現状とSDGsが目指す社会における
プラスチックの使い方加茂 徹 氏(産業技術総合研究所) 【講演概要】
国連が提案しているSDGs(持続可能な開発目標)は単なる明るい 未来ビジョンではなく、仮にこれらの目標を達成できなければかなり悲劇的な未来が 待っていると言う警告でもある。例えば金や銀などは採取可能量の既に7割を採掘して おり、地下には3割程度しか残っていない。すなわち資源の循環利用は未来を生き 抜いていくための必須の技術となっている。金属のリサイクルは企業活動として 昔から継続されてきた。一方、プラスチックのリサイクルは技術開発が始まって 50年も過ぎているのに未だに解決策が見出されていない。本講演は、プラスチックの リサイクルの現状や難しさの原因を明らかにしながら今後の有機資源の循環利用を解説する。 講演03海洋生分解性プラスチック開発の最前線 宇山 浩 氏(大阪大学) 【講演概要】
廃プラスチックが社会問題化したことを契機に生分解性プラスチック への関心が高まっている。また、地球温暖化防止、循環型社会構築に貢献するバイオマス プラスチックの普及も社会的に重要視されている。本講演では海洋生分解性プラスチックを 中心にバイオプラスチック(生分解性プラスチックとバイオマスプラスチック)の基礎から 実用化の現状、開発動向、将来展望を述べる。脂肪族ポリエステルを中心とした生分解性 プラスチックの分子・材料設計指針から生分解性プラスチックの普及に向けた課題を言及する。 また、汎用プラスチックの原料転換を含めたバイオマス資源からのプラスチック製造の 材料・機能設計からバイオマスプラスチック開発の現状を概説する。パネルディスカッション (モデレーター:宇山 浩 氏) パネリスト 更家悠介 氏(サラヤ(株)社長)、徐 于懿 氏(大阪大学)、企業関係者、講演者 下記を討論します。
〇生分解性プラスチックの市場動向と期待感 商社社長が情報提供
〇ユーザー企業の視点からの生分解性プラスチックへの期待(更家社長)
〇海外(台湾中心)の生分解性プラスチックの技術・普及動向(徐先生)
※他に講演に対する質問を通したパネルディスカッション
島村道代 氏(Michiyo SHIMAMURA)
2006年3月 北海道大学大学院 地球環境科学研究科 修了、博士(地球環境科学)
2006年4月 大韓民国 韓国海洋研究院 博士研究員
2009年1月 北海道大学 大学院理学研究院 博士研究員
2010年9月 産業技術総合研究所 地質情報部門 特別研究員
2011年6月 北海道大学 大学院地球環境科学研究院 特任助教
2013年6月 同 特任准教授
2014年2月 北海道大学 高等教育推進機構 特任准教授
2016年6月 海洋研究開発機構 イノベーション推進本部 調査役
2019年4月 同 経営企画部 調査役
加茂 徹 氏(Tohru KAMO)
1986年4月 東北大学 工学部 応用化学科 助手
1987年4月 工業技術院 公害資源研究所 研究員
1990年7月〜1992年3月 カナダ アルバータ州立大学 博士研究員
2001年4月 産業技術総合研究所 エネルギー利用研究部門 グループ長
2010年4月 産業技術総合研究所 環境管理技術研究部門 研究グループ長
2013年4月〜2019年3月 東京工業大学 連携教授
2015年4月 産業技術総合研究所 環境管理研究部門 上級主任研究員
2019年4月 産業技術総合研究所 環境管理研究部門 招聘研究員
宇山 浩 氏(Hiroshi UYAMA)
1985年3月 京都大学 工学部 合成化学科 卒業
1987年3月 京都大学 工学研究科 合成化学専攻 修士課程修了
1987年4月〜1988年2月 花王株式会社 研究員
1988年3月〜1997年4月 東北大学 工学部 助手
1997年5月〜2014年3月 京都大学 工学研究科 助手・助教授
2004年4月 大阪大学 工学研究科 教授
更家悠介 氏(Yusuke SARAYA)
サラヤ株式会社 代表取締役社長
1951年生まれ。74年、大阪大学工学部卒業。
75年、カリフォルニア大学バークレー校工学部衛生工学科修士課程修了。
その翌年にサラヤに入社し、取締役工場長に就任。
1980年に専務取締役、1998年に代表取締役社長。
その間の1986年には大阪青年会議所の会頭として
「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」の設立にも深く関わり、
1989年には日本青年会議所(JC)会頭を務める。
2014年、渋沢栄一賞受賞。
徐 于懿 氏(Yu-I HSU)
2008年6月 大同大学(台湾) 工学部生物工学部 卒業 学士(工学)
2012年3月 京都工芸繊維大学 工芸科学研究科バイオベースマテリアル専攻 修了 修士(工学)
2015年3月 京都工芸繊維大学 工芸科学研究科バイオベースマテリアル専攻 修了 博士(工学)
2015年4月〜2018年3月 国立循環器病研究センター研究所 生体工学部 流動研究員
2018年4月〜2019年3月 国立循環器病研究センター研究所 生体工学部 特任研究員
2019年7月 大阪大学 工学研究科 応用化学専攻 助教