主催 (社)生産技術振興協会・大阪大学生産技術研究会 協賛 日本結晶学会・日本結晶成長学会・レーザー学会 非営利特定活動法人 バイオグリッドセンター関西・蛋白質構造解析コンソーシアム 日本薬学会・近畿バイオインダストリー振興協会 21世紀COEプログラム「細胞・組織の統合制御にむけた総合拠点形成」 後援 財団法人 千里ライフサイエンス振興財団
DNAの二重らせん構造が予測され、50年の後にヒトゲノムが解読されて以来遺伝子治療や新しい創薬ターゲットの発見による医薬品化合物の開発競争が始まっている。 最近では、量子化学計算の手法も取り入れた化合物とのドッキング計算や、薬物代謝なども考慮に入れたインシリコ創薬である創薬バリューチェーン構想が検討されている。これは、インシリコ創薬とその実証をテーマに、種々の公的機関や製薬企業、ベンチャーなどが結集し、協力して医薬品候補化合物の創製を行う研究グループからなる。 今回の講演では、創薬バリューチェーン構想において医薬品化合物の候補化合物の開発のために提供する技術や創薬ターゲットについて紹介する。
- 日時 :平成17年11月2日(水)9:50〜16:45
- 会場 :大阪大学コンベンションセンター
- 会費 :(会員)12.000円 (非会員)15.000円 学生無料
- 申込先:生産技術振興協会事務局
(1)「2種のプロスタグランジンD合成酵素の構造と機能」 | (10:00〜11:00) |
裏出 良博 氏 (財)大阪バイオサイエンス研究所 | |
我々は、睡眠調節に関与するリポカリン型とアレルギー反応に関与する造血器型の2つのプロスタグランジンD合成酵素の三次元構造を決定した。これらの構造座標は、触媒反応機構の理解に有効であり、さらに、これらの酵素を標的とするドラッグデザインを可能にし、新薬の開発に貢献する。 |
(2)「ヒト由来造血器型プロスタグランジンD合成酵素の構造をもとにした阻害薬開発」 | (11:00〜12:00) |
井上 豪 氏 大阪大学大学院工学研究科 | |
造血器型プロスタグランジン(PG)D合成酵素は、基質PGH2を、アレルギー情報伝達物質としてのPGD2に異性化する。これまでヒト由来酵素の高分解能X線解析により、金属イオン効果を発見、そのメカニズムを解明した。また、経口投与で抗アレルギー効果を発揮する化合物HQL-79など各種複合体構造と阻害率との相関について解明した。 |
(3)「レーザー核発生と溶液攪拌による新しいタンパク質結晶化技術:創晶プロジェクト」 | (13:30〜14:30) |
森 勇介 氏 大阪大学大学院工学研究科 | |
我々は、フェムト秒レーザー照射によるタンパク質結晶核発生、及び溶液攪拌によるタンパク質結晶高品質化技術を開発し、従来法では結晶化が不可能であったタンパク質ADAの高分解能構造解析(1.8Å)の成功や、分解能3.5Åが限界であった膜タンパク質AcrBの高分解能構造解析(2.3Å)に成功した。 |
(4)「マラリアワクチンの開発とピリミジン合成経路を標的とした新規抗マラリア薬の創出をめざして」 | (14:30〜15:30) |
堀井 俊宏 氏 大阪大学微生物病研究所 | |
世界人口の約4割がマラリア流行地域に居住し、アフリカの幼児を中心に年間におよそ200万人が死亡するため、マラリアは人類最大の敵と呼ばれている。薬剤耐性マラリアが出現しており、ワクチンや薬剤の開発は緊急の研究課題である。本講演では我々が行っているSE36マラリアワクチンの開発と、薬剤開発について述べる。 |
(5)「インシリコでの創薬を目指して」 | (15:45〜16:45) |
坂田 恒昭 氏 大阪大学サイバーメディアセンター | |
わが国には優秀な技術を持つ、アカデミアの研究室、バイオベンチャーが存在する。医薬品候補低分子化合物創製のための革新的技術開発を各々にで行いそれを有機的に連結することを目的として創薬バリューチェインをスタートさせた。本講演では構造生物学とインシリコを中心とした創薬バリューチェインについての概説を行う。 |