私たちが利用しているエネルギーの約9割は、石油、天然ガス、石炭などの化石燃料を燃焼させることによって生み出されています。 しかし、近年、化石燃料の大量消費により、地球温暖化などの地球規模の環境問題が起こっています。
この問題を解決するために、グリーントランスフォーメーション(GX)の活用、アンモニアからの水素の生成・CO2からの メタンの生成、洋上に設置する大規模な風力発電など新しい技術の研究開発が推進されています。
本講演会では、次世代エネルギーに関する最新動向、現状の課題、今後の発展性などについて、専門の講師をお招きし、ご講演いただきます。
- 日 時:2023年10月27日(金)10:00〜17:10
- 会 場:サラヤメディカルトレーニングセンター(SMTC)
- 本町ガーデンシティ4階
- (大阪市中央区本町3-6-4(地下鉄「本町」駅 7号出口直結)
【地図はこちら】
- 参加費:一般、会員 6,000円(税込)
教員、名誉教授 3,000円(税込)
学生 1,000円(税込)
- 定 員:50名 ※定員にて締切致します
- 形 式:対面開催(オンライン放映はありません)
- 申込先:(一社)生産技術振興協会 事務局
【参加申込みフォームよりお申し込みください】
10:10〜11:10 講演1「DX, GXが拓くデジタル製造業の未来」 | ||||
前川 篤 氏(MAEK Lab,Inc. 社長) | ||||
デジタルが加速するなか、気候変動対策としてカーボン・ニュートラルが経営課題となってきた。
また、社会の方向が株主重視から環境・社会価値重視へと変化し、「ものづくりの製造業」にとっても大きな変革がある。本講演ではデジタルとAM(Additive Manufacturing)の融合で進化する製造業の未来を予測し、環境問題(特にエネルギー)を大きく俯瞰してカーボン・ニュートラル(CN)、グリーン・トランスフォーメーション(GX)の具体例を紹介する。
この5月31日に「GX脱炭素電源法」が可決・成立し、10年間で150兆円の官民投資の指針も示された。 今後は「モノ中心であった既存製造業のDX化」だけでは限界があり、新たな概念の「デジタル製造業」を追求する必要がある。 |
11:10〜12:10 講演2「実装への期待が高まるクリーン燃料アンモニア」 | ||||
村木 茂 氏(クリーン燃料アンモニア協会 会長) | ||||
クリーン燃料アンモニアのバリューチェーン構築に向けて、直接燃焼技術を中心に日本が世界をリードしている。
石炭混焼、ガスタービン、舶用ディーゼルエンジンでの燃焼技術が着実に進んでおり、JERAは2027年からの商用利用を目指して2024年早々に碧南火力の100万kw石炭火力での20%混焼大規模実証を実施する。
供給側では日本企業が参画して、北米、豪州、中東を中心にクリーンアンモニア供給プロジェクトが多く計画されている。
こうした中、日本政府はクリーン水素・アンモニアへの支援策の具体的検討を進めている。 一方、世界においても韓国、ドイツ、オランダがクリーンアンモニアの輸入計画を進めており、船舶燃料利用を含めて世界の大きな動きになってきており、クリーン燃料としてのアンモニアへの期待が高まっている。 |
13:30〜14:30 講演3「バイオエタノールの生産、利用と展望」 | ||||
坂口正明 氏(三菱商事株式会社 環境素材・化学事業本部 戦略企画室 シニアアドバイザー) | ||||
カーボンニュートラルに向けた次世代エネルギーの中でもバイオエタノールは燃料用需要として、既存ではガソリン混合用途であるが、将来はジェット燃料用として有望である。
また工業用用途としては、バイオエチレンなどに変換でき、多様な用途での需要が見込まれる。各国の政策に基づいた生産量の変遷、第一世代(可食性原料)・第二世代(非食性原料)エタノールの製造方法の進歩と課題、さらなる効率改善や副産物の有効活用などの開発の動向と展望についてお話しする。 また飲料用アルコールは、お酒として人間的な生活へ潤いをもたらす。最近世界的に評価されているジャパニーズウイスキー(モルトウイスキー、グレーンウイスキー)のものづくりと品質へのこだわりについてもお話しします。 |
14:30〜15:30 講演4「CO2から合成される"e-methane"による都市ガスカーボンニュートラル化への挑戦」 | ||||
大塚浩文 氏(大阪ガス株式会社 エネルギー技術研究所 エグゼクティブフェロー) | ||||
都市ガス業界では、グリーン水素などの非化石エネルギー源と二酸化炭素から製造された合成メタンをe-methane(e-メタン)と呼称し、都市ガスのカーボンニュートラル化のキー技術として、精力的に技術開発を進めている。 化石燃料である天然ガスをe-methaneに置き換えていくことで、既存の都市ガス供給設備、および燃焼機器を継続利用しながらシームレスにカーボンニュートラル化が実現できる。 海外の安価な再エネを活用してe-methaneを製造し、既存のLNGチェーンを用いて国内に輸送する検討も進められている。 本講演では、二酸化炭素からのメタン合成の技術的課題と、技術開発の現状、社会実装に向けた展望を紹介する。 |
15:50〜16:50 講演5「大規模洋上ウインドファームへの挑戦」 | ||||
柴田昌明 氏(大阪大学大学院 工学研究科 地球総合工学専攻 特任教授) | ||||
現在、日本では、2030年度において温室効果ガス46%削減(2013年度比)及び2050年カーボンニュートラル実現を目標に掲げ、様々な活動が展開されています。
再生可能エネルギーの導入促進はその柱で、中でも多くのエネルギー賦存量がある洋上風力発電は新しい基幹エネルギーとして注目されています。 本講演では、この洋上風力発電に関し、世界及び日本のエネルギー賦存量、洋上風力発電の概要、これまでの導入実績と今後の導入促進への期待、新しい基幹エネルギーとなるための課題について紹介し、それぞれの課題に対する技術的な困難さや解決に向けた打ち手について言及します。 また、このような背景を踏まえ、大阪大学に今年3月に設立された『洋上風車システムインテグレーション共同研究講座』の概要とその活動計画についても紹介します。 |
<連絡先>
大阪市中央区本町橋2−8 大阪商工会議所内
(一社)生産技術振興協会 事務局長 巽昭夫
電話:06-6944-0604 FAX:06-6944-0605