当協会では、毎年ハイテクセミナーを開催し、科学技術は社会をどう変えてゆくかという視点を通して、 現代の社会における問題や現象をひもといてきました。今回のテーマは、今注目の「ビッグデータ」です。
近年、膨大なデータを高速かつ簡単に分析できる技術が登場し、データ解析によってこれまで予想できなかった 新たなパターンやルールを発見できることが明らかになってきました。そして「ビッグデータ」の活用は、 あらゆる産業分野にイノベーションをもたらすとともに、新たなビジネスチャンスを生み出す可能性を秘めている ことから、にわかに注目を浴びています。
今回のハイテクセミナーでは、ビッグデータは社会に何をもたらすのかを論考するとともに、 最先端のビッグデータ活用の事例を6名の講師から紹介します。
◇ポスター
◇講師紹介
- 日時 :平成26年10月8日(水)10:00〜17:00
(※下記の参加申込みフォームからお申込みください)
- 会場 :島津マルチホール(阪急ターミナルビル 14階)
- (〒530-0012 大阪市北区芝田1丁目1−4) 【地図はこちら】
参加費: 一般(会員・非会員) ¥5,000円 (消費税を含む) 学生・教員 ¥1,000円 (消費税を含む) 名誉教授 ご招待
- 申込先:(一社)生産技術振興協会 事務局
- <参加費の振込先>
りそな銀行 千里北支店 普通509803
三菱東京UFJ銀行 新大阪支店 普通10381
ロ座名:一般社団法人生産技術振興協会 (イッパンシャダンホウジンセイサンギジュツシンコウキョウカイ)
1.「グラフマイニング技術を用いたビッグデータの応用と高速化技術の取組み」(基調講演) | ||||
大阪大学大学院情報科学研究科 教授 (2014年7月〜) 鬼塚 真 氏 | ||||
Facebookなどのソーシャルサービスやインターネットでのショッピングなどに代表されるように、 友人関係を表現するソーシャルグラフや、購買履歴をグラフ構造のデータとして表現・分析するグラフマイニングの技術が 注目を集めています。ここではグラフマイニングの分析事例を、数10億規模のグラフデータに適用するための高速アルゴリズムを 例にとり紹介します。更に、Hadoopに代表されるような大量のマシンを活用した分散処理の高速化の取り組みについても併せて紹介します. |
2.「統計学は最強の学問に過ぎない」 | ||||
大阪ガス ビジネスアナリシスセンター 所長 河本 薫 氏 | ||||
データサイエンティストやビッグデータという言葉の流行とともに、統計学への関心も 高まっています。統計学を学ぶセミナーや書籍も目白押しです。しかし、どれだけ統計学を勉強しても、 それだけではビジネスに役立ちません。なぜならば、最強の学問に過ぎないからです。演者も、初めは 統計学さえ学べば企業内で分析専門家として活躍できると思っていました。しかし、そう思っている間は 何もうまくいきませんでした。ここでは、企業内の分析専門家として15年間の失敗話や苦労話をまじえながら、 大阪ガスのような普通の企業で「データ分析をビジネスに役立てるには、統計学に加えて何が必要か」 を話したいと思います。 |
3.「ソーシャルメディアビッグデータが世の中を変える(具体的事例と今後)」 | ||||
データセクション株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 澤 博史 氏 | ||||
データセクション株式会社は、ネット上のデータを集め、データを情報に、情報を知識に、知識を知恵にと コンセプトに事業を行っている会社です。その中でも、現在は特にソーシャルメディアデータの分析に特化した事業展開を 行っています。今話題のビッグデータにおいて、世の中で先進的に活用されているのが、ソーシャルメディア情報ですが、 現在、企業の中でどのように活用されているのか、また、将来的にどのような可能性があるのかについて、 具体例を交えながら紹介していきます。 |
4.「システム論的健康管理と大規模な健康データの活用事例」 | ||||
オムロン株式会社 技術・知財本部 応用開発センター 土屋直樹 氏 | ||||
近年、先進国のみならず新興国においても、生活習慣病人口は増加傾向にあります。 これは、医療費や労働力などの面で社会的問題を誘発することから、一人ひとりの積極的な生活習慣の改善 による健康管理が推奨されています。そのため、多くの健康機器をネットワークに繋げ、それを介して 蓄積された大規模な健康データから新たな価値を見出そうとする取り組みが活発になっています。ここでは、 一人ひとりに適した健康管理を提案するための工学的な考え方として、システム論的健康管理を概説し、 その事例として、家庭で計測された大規模なデータから新たな知見を発掘する事例を紹介します。 |
5.「表現型関連遺伝子の探索に向けた生物医学ビッグデータ」 | ||||
大阪大学大学院医学系研究科・NEC 共同研究講座ゲノム情報学 特任教授 中谷明弘 氏 | ||||
多因子性疾患や量的形質などに関連する生体のさまざまな表現型には、多くの遺伝子が 互いに関係し合いながら影響していると考えられており、組み合わせ論的な「場合の数」の爆発的な増大の軸が 存在しています。これらが、我々の個性や多様性(疾患や薬剤に対する感受性の違い)を生み出していると 考えることもでき、個別化した医療の実現に向けて重要になると考えられます。ここでは、表現型に関連した 遺伝子の探索に向けた数理的な手法について紹介します。 |
6.「ビッグデータが描く未来:2050年『モザイク・シティ』」 | ||||
株式会社大林組 本社設計本部設計ソリューション部設計ソリューション課 一居康夫 氏 | ||||
ビッグデータは、社会の未知の部分に光をあてるものだと考えています。個人の日常活動や、 社会活動、経済活動、研究活動などのあらゆる分野で、膨大なデータからいままで気づかなかったバターンや つながりが判明し、それが次の時代を拓く指針ともなるのではないでしょうか。では、ビッグデータから 見えてくる未来とは、どのようなものでしょう。ここでは私たちが想定した、ビッグデータがもたらす、 一つの都市像を紹介いたします。 |