◇主催: (一社)生産技術振興協会 ◇共催:(一社)大阪大学工業会
毎年開催されるこのハイテク推進セミナーでは、科学技術は社会をどう変えてゆくかという
視点を通して、現代の社会における問題や現象をひも解いてきました。今回のテーマは
3Dプリンタによる"モノづくり"の革命です。
大量生産による製品のコモディティー化が進む中、消費者のニーズに合わせ、3次元カス
タムモノづくりが注目を浴びている。とりわけ3Dプリンタは樹脂、セラミックス、金属
さらにはその複合体と幅広く造形を可能とし、付加製造法(Additive Manufacturing)
としての少量・多品種生産、さらにはIoTとの組み合わせによりマスカスタマイゼーション
に対応すべく急速な研究・技術開発がなされている。関西においても、SIP(戦略的イノ
ベーション創成プログラム)など多数のプロジェクトが進む中、家電製品、医療・福祉
製品、航空エネルギー部材など幅広い製品群をターゲットとして、3Dプリンタによる
新ものづくりが世界に向け発信されています。
◆ポスター(194KB) ◆講師紹介(1364KB) ◆レジメ(2582KB)
- 日時 :平成29年10月24日(火)10:00〜17:00
- 会場 :島津マルチホール(阪急ターミナルビル14階)
- 懇親会:キッチン&バー 「シィーファー」(阪急ターミナルビル17階)
- (〒530-0012 大阪市北区芝田1丁目1−4 電話:06-6372-5200)
【地図はこちら】
- 参加費:一般、会員 5,400円(税込)、教員、名誉教授 2,700円(税込)
学生 1,000円(税込)- 定 員:60名(定員に達した時点で受付を締切)
- ※定員に達しましたので、申し込みを締め切りました。
10:10〜11:00 1.関西における3Dプリンタ拠点構築と形状材質制御による造形体の創製 | ||||
大阪大学 教授 中野貴由 氏 | ||||
3Dプリンタはこれまでに成形不可能であった複雑形状部品や製品を生み出す手法として、さらにはカスタム製品を生み出す手段として、玩具から医療・航空宇宙・自動車・家電まで幅広くその応用が期待されている。関西においても大阪大学を中心とした阪大異方性力スタム設計・AM研究開発センターをヘッドクオーターとして、金属製品を中心とした3Dプリンタならではの市場開拓に向けたニーズ・シーズを結集している。本講演ではこうした阪大における取リ組みを紹介するとともに、金属造形が単なる形状の制御に留まらず、単結晶・多結晶といった組織制御による機能性をも同時制御でぎ、機能性を発揮できる事例について紹介する。 |
11:00〜11:50 2.関西企業における3次元モノづくりの動向 〜三次元積層造形技術がもたらす変化〜 | ||||
大阪産業経済リサーチセンター 松下 隆 氏 | ||||
Additive Manufacturing(付加製造技術)(以下、「AM技術」)は、日本では1980年代に小玉秀男氏(当時、名古屋市工業研究所)、丸谷洋二氏(当時、大阪府立工業技術研究所)らによって、技術開発.実用化が進められた。その後幾度の普及段階を経て、2000年代に再度普及の波が到来した。3次元CAD技術と装置の精度向上、使用材料のバリエーション化によって、日本では特に工業分野における普及が始まっている。 独自のアンケート調査やヒアリング調査、及び経営・社会学的アプローチによって、普及状況や活用事例を明らかにした報告書をこれまで3篇執筆しました。そこでの知見からものづくりの分野においてAM技術がどの工程や技術を代替するのか、また、新たな価値を創出するのかについて解説する。 |
13:10〜14:00 3.ナノ粒子ペースト素材を用いた3Dモデリング | ||||
大阪大学 教授 桐原聡秀 氏 | ||||
紫外線照射により重合硬化する液体樹脂へ、金属ならびにセラミック微粒子を高濃度に分散し、ペースト化した特殊素材を用いる独自の造形プロセスを紹介する。平板上に薄く塗布し、紫外線レーザを走査すると2D断面を描画でき、積層を繰リ返せば3D構造が作製できる。得られた複合材料パーツを熱処理し、脱脂ならびに焼結を施せば金属やセラミック構造体に転換できる。最近では高強度の紫外線レーザを用いて、造形と熱処理を同時に達成できるようになった。電磁波デバイス・生体インプラント・電池モジュールなどの試作事例を通じて、2Dと3Dの問である非整数次元の構造構築と幾何学パターンによる機能発現について紹介する。 |
14:00〜14:50 4.電子ビーム積層造形法による医療製品の開発 | ||||
帝人ナカシマメディカル株式会社 井上貴之 氏 | ||||
弊社では、30年前に一品受注生産の舶用プロペラの鋳型製作用に光硬化樹脂による3Dプリンターを導入して以来、医療製品の試作等に使用してきた。近年、3Dプリンターの形状再現性能と一品生産性という特徴を生かして、CT画像から個々の患者の骨格形状を仮想空間で再現し、その骨格に合わせた患者専用のカスタム手術器械を設計、3Dプリンターで実体化して提供することで手術の簡素化と高精度化を実現した事例、技術の汎用化によって製造コスト低減を図り、機械加工のような除去加工では実現できない複雑形状を採用して高機能を付与した医療製品(人工関節の構成部品)の量産化に適用した事例等を紹介する。 |
15:10〜16:00 5.3次元モノづくりによる輸送機器、エネルギー機器の新しい生産技術 | ||||
川崎重工業株式会社 井頭賢一郎 氏 | ||||
当社では、試作品製造や金型製造ではなく、実機に搭載する部品の生産手段とするため、金属3Dプリンタの適用技術開発進めている。開発対象は、現状の金属3Dプリンタの生産レートや同装置の運用コストや粉末価格などから、まずは航空機エンジンやエネルギー機器向けの高付加価値部品から進めておリ、従来工法では製作できない革新的な設計の実現、一体化することによるコンパクト化・高信頼化・大幅な低コスト化に期待して取り組んでいる。このような当社の取リ組みの事例について、海外エンジンメーカーの実施例を交えながら紹介する。 |
16:00〜16:50 6.3Dプリンティング技術のパナソニックでの活躍と今後の展望 | ||||
パナソニック株式会社 寺西正俊 氏 | ||||
工業製品のグローバル競争の激化により、コモディティ化が進み、低価格化への歯止めがかからない状況である。一方、先進国を中心に個々人の価値観に合わせた高付加価値商品の需要の高まりが予想される。新たな価値創造を目指し、パナソニックにおいてこれまで取リ組んできた金属光造形の取リ組み、3Dプリンター活用事例を紹介する。また、現在参画中の国家プロジェクトSIP革新的設計生産技術の研究テーマである「三次元異方性力スタマイズ化設計・付加製造拠点の構築と地域実証」の特徴、目指すべき方向性について述べる。 |