毎年開催されるこのハイテク推進セミナーでは、科学技術は社会をどう変えてゆくか
という視点を通して、現代の社会における問題や現象をひも解いてきました。今回の
テーマは「CO2削減最前線」です。
2015年9月に全ての国連加盟国は「持続的な開発目標SDGs」を計画し、この地球
上の多くの問題の中から17の目標が合意され、2030年のゴールとして二酸化炭素削減
目標が提示されています。このような流れを受けて、わが国日本には、最新の二酸化
炭素削減技術を導入し、地球温暖化防止に貢献するとともに低炭素社会を創造すること
が期待されています。
日本の二酸化炭素削減目標は、2013年度ベースで,2030年度までに26%削減、2050
年度までに80%削減となっており、現状のエネルギー機器の高効率化では対応できない
レベルであり、これを実現するためにはイノベーションによるパラダイムシフトが必要
不可欠な状況となっています。そこで本年度の生産技術振興協会のハイテク推進セミナー
では、二酸化炭素削減技術を先導されている方々を講師としてお招きし、低炭素社会創造
の最前線についてご講演いただきます。
◆ポスター(169KB) --> ◆講師紹介(1112KB) ◆レジメ(1405KB)
- 日時 :平成30年10月26日(金)10:00〜17:00
- 会場 :島津マルチホール(阪急ターミナルビル14階)
- (〒530-0012 大阪市北区芝田1丁目1−4 電話:06-6372-5200)
【地図はこちら】
- 参加費:一般、会員 5,400円(税込)、教員、名誉教授 2,700円(税込)
学生 1,000円(税込)- 定 員:60名(定員に達した時点で受付を締切)
- 懇親会:「里山ダイニング」(阪急ターミナルビル17階)17:00〜19:00
- ※別途参加費(3,000円)は当日受付にて申し受けます。
- 申込先:(一社)生産技術振興協会 事務局
- ※定員に達しましたので、申し込みを締め切りました。
10:10〜11:10 1.Digitalizationを活用した最新技術について〜脱炭素社会に向けて〜 | ||||
三菱重工フォークリフト&エンジン・ターボホールディングス株式会社 前川 篤 氏 | ||||
世界のメガトレンドとして、エネルギ、航空宇宙、物流機器、輸送機器などの産業分野では 低炭素から脱炭素(Decarbonization)社会へと大きく変化し、再生可能エネルギ、電動化、水素活用、 CCS (CO2 Caputure & Starage)、分散/ネットワーク化が進みつつある。また、これらの開発、製造分野では 従来の既存技術に加え、IoT, Al, AM(3Dプリンター)、画像処理、音声認識などDigitalization技術を織り込んだ 先進技術が生れており、その一端を紹介する。 |
11:10〜12:10 2.水素社会に向けたSIPエネルギーキャリアの取り組み | ||||
東京ガス株式会社 村木 茂 氏 | ||||
2014年にスタートした戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)のエネルギーキヤリアプログラム では3つの水素エネルギーキヤリアを対象に水素社会実現に向けた研究開発を進めている。この中でアンモニアを発電用、 工業用、海上輸送用の燃料として直接利用する技術が'大きく進展している。これを受けて産業界を中心としたグリーン アンモニアコンソーシアムを2017年に設立し、CO2フリーアンモニアの製造から利用までのバリューチェーン 形成に向けた取り組みを推進している。本講演では日本の水素戦略、水素関連研究開発、そしてSIPの取り組みと成果、 今後の展開について紹介する。 |
13:30〜14:30 3.再生可能エネルギー大量導入時代における火力発電の役割と価値 | ||||
電力中央研究所エネルギー技術研究所 吉葉史彦 氏 | ||||
CO2削減を目指して導入が'拡大している再生可能エネルギーのうち、太陽光発電や 風力発電は天候に応じて出力の自然変動性を伴う。電力を安定に供給しながら再生可能エネルギーの導入を拡大していくには、 太陽光発電や風力発電の出力の自然変動性を調整する電源が必要であり、現在は火力発電が主にこの役割を担っている。 本講演では、2030年のエネルギーミックスを想定し、再生可能エネルギー大量導入時の火力機のメリットオーダーの 変化を紹介する。また、再生可能エネルギー大量導入時における調整力としての火力機の役割と価値について併せて述べる。 |
14:30〜15:30 4.バイオマス小規模熱電併給設備の現状と展望 | ||||
中外炉工業株式会社 笹内謙一 氏 | ||||
再生可能エネルギー電力固定価格買取制度がスタートして8年目を迎え、数万KW規模の
大型バイオマス発電所の建設が活況を呈している。一方で2000kW未満の小規模発電は、40円/kWhという高価な
買取価格であるにもかかわらず伸び悩んでいる。 小規模発電装置は熱電併給(コージェネレーション)装置とできることから、高いエネルギー効率が得られることが 最大の特徴である。また大型発電のように大量のバイオマスを必要とせず、エネルギーの地産地消に適していること から地方創生の切り札にもなりうる。この技術にスポットを当て、各技術の実例や課題を明らかにし、 規模熱電併給設備普及への課題と展望について紹介する。 |
15:40〜16:40 5.神戸市ポートアイランドにおける水素CGSスマートコミュニティ事業 | ||||
株式会社大林組 小野島一 氏 | ||||
NEDO助成事業「水素エネルギー利用システム開発実証事業」において、(株)大林組と川崎重工業(株)は、 市街地における水素を燃料に使用した市街地向けの熱電供給を世界で初めて実証運転を行いました。本事業では神戸市ポート アイランドにおいて水素を燃料とする1MW級ガスタービンを有する発電設備(水素CGS)を用いて、近隣の4施設への熱電の同時 供給を実現しています。ここで「電気」「熱」「水素」エネルギーの最適制御技術を確立し、 〔1〕水素・天然ガス混焼ガスタービンの燃焼安定性検証、 〔2〕双方向蒸気融通技術確立、〔3〕統合型EMSの経済的運用モデル確立を検討して います。水素を用いた新たなエネルギーシステムについてその概要を紹介します。 |